さえずり

過去データ
〜〜〜『ほおじろ』2003.03.巻頭言から〜〜〜
三番瀬の海の豊かさを取り戻すために 日本野鳥の会・千葉県支部は再生案を見出せない県円卓会議に提案します
日本野鳥の会・千葉県支部

I.三番瀬の歴史と現状

  1. 三番瀬は、近い過去まで、干満に応じて干出する干潟であり、内陸から沖合に向けて、「内陸性湿地(淡水池、水田、蓮田、アシ原、塩田・・・・・)→汀線→干潟→海藻場」という模式的構造をもっていました。
  2. 江戸時代は、世界一の巨大都市=江戸の消費を支え、なおかつ安定した生態系を保っていました。
  3. 第二次世界大戦以降の、工業化・高度経済成長下の湾岸埋立ては、浚渫窪地を作り、汀線形状を物理的に変化させ、上記Aの構造を失わせ、過度の地下水くみ上げは、三番瀬の地盤沈下をもたらしました。
  4. 工業化の進展や消費経済の肥大化により、湾岸住民のもたらす環境負荷は、東京湾をさまざまな物質で汚染させました。
  5. また、上記Cの結果、三番瀬は浅海域になってしまいました。
  6. その結果、上記Bに述べた、安定した生態系を構成した多様な生物相は大幅に失われ、きわめて不安定な生態系になっています。以下の述べるG−Jはその断面です。
  7. 地球温暖化、内分泌攪乱物質など、地球環境全体に起っている多様な問題は、当然三番瀬にも共通します。
  8. 三番瀬は、東京湾奥部の浅海域であり、浚渫窪地や航路などの深堀部を抱え、近年、青潮の起こる頻度が増し、この夏も毎週のように青潮を発生させ、生態系に深刻な影響を与えています。
  9. また、台風による大雨では、江戸川放水路の放水により、多量の淡水が三番瀬に流入し、重大なる生態系攪乱が起きています。
  10. 上記、H、Iにより、漁業生産にも大きな被害が生じています。

U.三番瀬の海をどうするのか

  1. 三番瀬は、夏場にちょっと北風が吹くだけで、幾度も青潮が発生するまでに脆弱な海になっています。この危機感を共有する人たちと、三番瀬の再生を考えて行きましょう。
  2. 三番瀬の自然環境は、安定した原生自然ではなく、きわめて不安定なものです。
  3. それゆえ、もう一度、丁寧に手をかけて海の生態系を蘇生させなくてはいけません。具体的には、上記TAに述べた、内陸性湿地→汀線→干潟→海藻場、という構造を模索すべきでしょう。
  4. 不安定であっても、生態系に手を加えるので、実験、フィ−ドバックを繰り返し、順応的管理を心がけるべきです。

V.今後の議論を進めるために

  1. 各論に走らず、再生の全体像の中に各論を位置づけるべきです。
  2. 観念的な議論でなく、事実に裏打ちされた科学的な議論をすべきです。
  3. 論理の射程を意識して議論をすべきです。
  4. 三番瀬を、盤州、富津など湾内に残された干潟と関連付けて論ずるべきです。
(10月17日の海域小委員会資料に加筆)