さ え ず り

過去データ
〜〜〜『ほおじろ』2003.04.巻頭言から〜〜〜

スズガモが安定して越冬できる三番瀬を目指して
瀕死の状態から脱却して確実な再生の道を探ろう。

日本野鳥の会・千葉県支部
  1. 三番瀬は1メートルも地盤沈下

    三番瀬は東京湾奥部に唯一残された浅海域ですが、50年前までは干潟でした。工業用水の汲み上げで約1メートルも 地盤沈下し、浅海域になってしまったのです。
  2. 三番瀬が豊かな海であった理由

    利根川は、江戸時代まで江戸川を流れて東京湾にそそいでいましたが、水害を避けるため、利根川を切り開き、 銚子に流した歴史があります。三番瀬には、利根川水系から豊かな栄養分が流れ込んで堆積したのです。
  3. 三番瀬周辺の人々の暮らしの変化

    三番瀬周辺の、船橋、市川、浦安の海岸地帯では、内陸部には水田や湿地が広がり、 海岸には塩田も作られました。 堤防を越えれば干潟と浅海が広がり、岸近くにはアシ原、浅海には藻場が発達し、海では漁業がさかんに営まれていました。


    自然環境も豊かで、新浜と呼ばれた地域には、マガン、サカツラガンをはじめ、多種・ 多数の鳥類が飛来し、日本のバードウォチングの揺籃の地でありました。


    ところが、第二次世界大戦後に湾岸一帯の埋立が始まり、海岸線は何キロも前面に押し出され、海岸形状は直立護岸に 変化し、それにともない海が育んできた豊かな生活は失われ、都市型生活をする人々がふえました。
  4. 三番瀬はたび重なる青潮で死の海になりつつある

    東京湾には、工場廃水、生活廃水が多量に流入し環境負荷が蓄積され、それが根本原因で、夏場に青潮が発生します。 海水は、硫黄酸化物で青く、無酸素状態の水が浅海に広がり、底生生物も魚も窒息死してしまいます。


    昨年は、毎週のように青潮が発生し、二枚貝など底生生物が斃死し、二枚貝を捕食するスズガモに大きな影響が発生しました。 漁業関係者にとっては、アサリなど漁業資源の枯渇であり、スズガモにとっては、餌の欠乏です。 このままでは三番瀬は死の海になってしまいます。
  5. 青潮の起こりにくい海にするために

    三番瀬では、餌が決定的に不足しており、スズガモの状態は日々刻々変化します。我々は、状況を正確に把握するには、 東京湾全域スズガモ動態調査が必要と考え、東京都葛西沖から富津に至る18地点で、1月から3月まで3回の動態調査を実施し、 概況を把握しました。次の冬も調査を継続します。


    鳥類を指標と考えれば、スズガモが安定して越冬できる三番瀬を目指すべきであり、また、青潮の起こりにくい海とするために、 埋立前に近い状態を人工的に作り出していく必要があるでしょう。


    そうした試みの一環として、千葉県支部と共同歩調をとるNPO三番瀬(安達宏之理事長)は、県内各地の漁組の協力をえて、 マスコミ報道にある通り、3月22日に三番瀬でアマモ場の造成実験をしました。アマモ場が復活すれば、光合成によって 酸素供給がなされ、また海生生物の発生の場となり、ひいては鳥類生息環境も改善されます。


    これからも、三番瀬の確実な再生の道を探りたいものです。