さ え ず り

過去データ
〜〜〜『ほおじろ』2013.4.巻頭言から〜〜〜

谷津干潟にシギ・チドリ類が来なくなってしまった。

アオサが底泥を覆い酸欠状態となり、底生生物が減少しているのではないか?
日本野鳥の会・千葉県支部

谷津干潟の歴史

谷津干潟は、ラムサール条約の登録湿地で、もともとは、東京湾奥部の自然干潟の一部でした。
高度経済成長時代に、東京湾では埋立てが進みましたが、谷津干潟周辺も例外ではなく、四周が埋められても谷津干潟は 残っていました。
土地所有者が大蔵省だったからで、当時「大蔵省水面」と呼ばれていました。


さまざまなタイプの保護運動が展開され、最終的には公害防止事業団が、「湾岸道路が周辺住民に与える騒音の緩衝地帯」 を作るという位置づけで、埋立てが中止になり、その結果、1988年に国設鳥獣保護区に指定され、1993年にラムサール条約 登録湿地になったという経緯があります。

谷津干潟の四季

谷津干潟では、四季を通じて探鳥が出来ます。
春は、オオソリハシシギ、メダイチドリなど赤い夏羽のシギ・チドリが 目立ちますし、夏は、オオヨシキリが繁殖し、周辺で繁殖するコアジサシが採餌に来ます。


夏の終わりから秋にかけては、南下するシギ・チドリ類が滞在して、目を楽しませてくれますし、秋が深まれば、 カモ類や、ハマシギ、ダイゼンなどがやってきます。

谷津干潟の自然環境の危うさ

谷津干潟は、四周を陸地に囲まれた「閉じた水系」として残されたわけで、外海とは二本の水路によって つながっているだけです。
また、広域下水道の完備によって、汚水の形で供給されていた淡水が、雨水以外には供給されなくなってしまったという事情が あります。


干潟の面積は約40ヘクタールですが、これだけの面積の干潟が、十分な海水交換もない状態に置かれているのですから、 その自然環境はきわめて危うい状態にあります。
事実、水路による潮の引きが強すぎるので、干潟の底泥のうち、粒径の小さな泥質はほとんど流出してしまい、底泥は砂質 になって しまいました。


また、外海で多発する青潮は、上げ潮とともに干潟に流入し、底生生物に被害を出しています。
その上、海水交換不足、流入淡水の不足から、干潟内の海水の塩分濃度が上がり、アオサが大量発生し、アオサの下の底泥は 酸欠状態となり、底生生物の斃死が目立ち、それを捕食するシギ・チドリ類に対する影響が懸念されてきました。

谷津干潟にシギ・チドリが来なくなってしまいました

その懸念が、2003年から2004年にかけての冬に現実になってしまったのです。
ハマシギとダイゼンは、三番瀬と 谷津干潟を行き来しているのですが、谷津干潟に現れる数がめっきりと減ってしまいました。


さらに、春になって、 渡りの種は飛来しても、谷津干潟には落ち着かず、例年のように長時間滞在して採餌する姿はあまり見られない状況です。

アオサ繁茂と底生生物減少の因果関係調査が急務です

このままでは、国際条約の登録湿地が死んでしまいます。緊急に、表題の調査をしなくてはなりません。