ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2022年5月号

千葉県で繁殖するサギ類

日本野鳥の会千葉県・幹事会

集団営巣するサギ類

サギ類の集団営巣地をコロニーといいます。県内でコロニーを作り集団営巣するのは,体色の白いダイサギ,チュウサギ,コサギ,アマサギの他,ゴイサギ,アオサギの6 種です。 カラシラサギ,アカガアシラサギが混じることも稀にあります。

湿地環境で繁殖するサギ類

そのほか,湿地環境では,サンカノゴイ,ヨシゴイ,オオヨシゴイが繁殖しますが,開発行為により繫殖数が激減しています。とりわけ, 成田新高速鉄道と北千葉道路建設による北印旛沼周辺の環境破壊が大きなダメージを与えたことは忘れられません。

里山環境で繁殖するミゾゴイ

ミゾゴイは県北から県南の丘陵や低山で繁殖しますが,開発行為の影響を受けます。

岩磯で繁殖するクロサギ

内房から銚子の,岩磯や波消しブロックではクロサギが繁殖します。

サギ類コロニーの動向に注目しよう

県内には十数か所のサギ類コロニーがありますが,人間の生活圏に近く,開発行為によって繁殖に影響が及ぶことがあります。 サギ類コロニーの動向に注目し,情報をお寄せくださるようお願いいたします。

旭市サギ類コロニーの危機

橋本了次 記

図1,図2 の太陽光発電施設に接した破線で囲われた営巣域が損壊されている。図1 に見られるように損壊された領域のメダケと周りの木立には多くのサギが営巣していたが, 伐採された後(図2),裸地の上を数羽のサギがうろついていた。どこかの国が隣の国に侵略し生活を破壊している状況に似ている。既に営巣が始まっており, これから産卵,抱卵,育雛が本格化する時期に当地の工事期間が重なっている。サギの造巣・繁殖への悪影響が今以上に拡大しないよう出来る限りの策を検討している。 他の地域でもサギの繁殖に悪影響の恐れのある事例や新しいサギコロニーの情報があれば本会にご一報ください。

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図1 2018年7月27日の現場

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図2 2022年4月2日の現場