ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2022年11月号

手賀沼探鳥会の出発場所である手賀の丘公園キャンプサイト問題

日本野鳥の会千葉県・幹事会

経緯

 手賀沼探鳥会は毎年10月から翌年の3 月まで毎月第1 日曜日に開催されます。集合場所は,柏市が管理する手賀の丘公園です。 園内を歩きながら森林性の野鳥を探し,隣接する谷津田を経て手賀沼湖畔を廻り,最後にまた公園へ戻るコースで,様々な環境を歩き, 出現鳥類も多様で,60 種近くが記録されたこともあります。
 手賀の丘公園は総面積が約26ha,スギ・ヒノキ等の針葉樹にシラカシ・イヌシデなどの広葉樹の混じる混交林が大半を占めますが, 低湿地環境も一部あり,キンラン・ギンラン・コクラン・イチヤクソウ・チダケサシ・タシロラン等の稀少植物も多数確認されています。 探鳥会が実施される秋から冬にかけ,カラ類の混群に加え,ルリビタキ・ウソ・シメ・キクイタダキ・クロジ・シロハラなど森林性の野鳥が観察されます。

指定管理者

 公園の管理運営を,2020 年3 月に柏市公園管理課はリ・キャンプ社に外部委託することを決定しました。
 当会は,市内の環境保護団体=NPO 法人かしわ環境ステーション(以下KKS と略す)と連名で,稀少生物生息状況を報告し, 保護のための管理運用ルールの徹底をはかるよう,要望書を提出しました。

その後の状況

 しかし,新型コロナウイルスの蔓延やアウトドアブームも重なり,キャンプ場は大盛況の状況です。探鳥会のコースも変更を強いられ, 観察種も大きく減少しました。
 さらに,リ・キャンプ社はキャンピングゾーンの拡大要請をしています。
 柏市は,本年8 月,自然環境・文化財・遺跡(古墳等)に配慮したキャンプサイトのゾーニング案策定を環境調査会社=アジア航測に委託しました。

アジア航測との打合せ

 9 月末,当会及びKKS 関連メンバーは,アジア航測担当者と打合せを行いました。同社は,植生を中心とした生物調査をし, ゾーニング案を年内に作成する予定とのことです。
 KKS 側は,稀少植物の生息場所をマーキングする一方,植物生息状況地形図提出する予定を伝えました。 当会は,過去の野鳥リストを提供し,ゾーニング案作成時の事前打ち合せを実施するよう要請しました。

今後の対応

 アジア航測社とは,ゾーニング案作成後に改めて会合をもつ予定です。当会の探鳥会は秋から冬にかけて開催され,鳥の繁殖期から外れていますが, 公園内で繁殖している可能性が高いカワセミやキビタキなどのホットポイントエリアに留意しながら,ゾーニングのたたき台内容を指摘してゆく予定です。
 キャンピングブームはまだ暫く続くと思われ,自然に親しむ人達の増加は当会にとってプラス要因とも考えられますが, キャンプサイト運営者の生態系バランスを乱さない配慮・運営が極めて重要な要素になると考えます。

保護委員会・小島 久佳 記