ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2022年12月号

注目すべき鳥の動向
観察記録をお寄せください

日本野鳥の会千葉県・幹事会

スズガモの飛来数が激減しています

 スズガモは,皆さんよくご存じのカモです。
 潜水採餌性で,二枚貝を好んで食べますが,餌不足の冬には,アオサなど植物質まで食べています(本会の糞塊調査で,アオサだけの緑色の糞を多数確認したことがあります)。
 日本では,東京湾,伊勢湾,宍道湖・中海の3 か所が大きな越冬地です。東京湾では,毎年10 万羽以上が越冬し,北に渡る直前には20 万羽を超える計数データもありました。
 東京湾奥部で,夏場に発生する青潮の影響で,二枚貝を含む底生生物が大量死し,冬場に飛来するスズガモの餌がないという状態が続き,年々確認数が減っています。
 この冬は,さらに確認数が少なく,11 月中旬の計数調査では,三番瀬海域全体で1 万羽に満たず,市原から富津に至る海域にも大きな群れを見ない状況です。
 伊勢湾でも,宍道湖・中海でも越冬数が減少しているようで,このままでは,東アジアのスズガモ全体に多大の被害があるのではないかと危惧されます。
 普通種スズガモに未来はあるのでしょうか?
 近年は,外房から銚子にかけての,河川の河口部や漁港内で,数百程度の群れが冬越しをすることがあります。
 県内各地のスズガモ情報をお寄せください。とりわけ,数百羽以上の群れをご覧になった場合はお知らせください。

ツグミの飛来数に注目しよう

 スズガモに限らず,ほぼすべての種の確認数が減少しています。すべての鳥種に注目するのは大変ですから,冬の小鳥の象徴的存在であるツグミに注目してみましょう。
 ツグミの観察記録をお寄せください。

移入種ガビチョウの定着

 ガビチョウGarrulax conurus は,中国中部以南の,藪や二次林に普通に生息する鳥で,全長22 センチ,茶褐色の体に,嘴は黄色で頑丈,目の周りが勾玉状に白いのが特徴です。
 囀りは「稀有,稀有(珍しいの意味)」と聞きなされますが,シーヨウ,シーヨウとけたたましいものです。その声が中国人の好みのようで,飼い鳥の中心的存在です。
 日本では,移入され,野外に逃げたものが繁殖し,各地で個体数を増やしています。千葉県で見られることはあまりなかったのですが, 木更津市の小駒洋子幹事から,ご自宅の庭(写真)や市内複数個所で記録があるという報告がありました。初めて見たのは,2020年9月だそうです。
 単独や番いで行動することが多いとされますが,里山環境で増加する恐れがあります。
 動向を把握したいので,過去の記録を含め,観察記録をお寄せください。 2212