ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2023年2月号

ツグミの動向を記録しよう

日本野鳥の会千葉県・幹事会

鳥インフルエンザが猛威を振るって

 この冬,日本各地で鳥インフルエンザが猛威を振るっています。県内でも,伝統的カモ猟に使うカモの飼育場や養鶏場で発生していますし, 北海道の留鳥のタンチョウ,九州の冬鳥ナベヅルにも発生し,今後の動向が危惧されます(頬白新聞をご覧ください)。

普通種の減少が目立ちます

 各地で,迷鳥・珍鳥の報告がありますが,普通種のスズガモ,ツグミ,カモ類が激減しています。
 それらの鳥の飛来数減少の原因の一部に,鳥インフルエンザの影響があるかもしれませんが,実態は分かりません。
 普通種は多数見られ,あたりまえのように思っていますが,いま,その普通種が見られなくなっています。複数の原因が重なっていて,原因を見きわめることは容易ではありません。

ツグミ密猟と霞網禁止に向けての活動

 冬の小鳥の代表はツグミです。日本海を渡って来た群れは,国内の山地の峠を越え,低地に降ります。 その峠に,霞網を一面に張り巡らせ,一網打尽に捕獲する密漁が20世紀後半まで広く行われていて, 霞網の製造・販売を全面禁止にすることが,当時の日本野鳥の会の重要な保護活動でした。

この冬,ツグミを見ましたか?

 千葉県内では,11月になると星月夜にツグミの渡る声が聴かれ,翌朝に100羽単位のツグミが見られました。 群れは南下して行きますが,年の瀬には,あちこちの田んぼ,畑,公園,庭先に単独や数羽に分かれて冬を越しました。 霞網はなくなりましたが,ツグミそのものがいなくなってしまいました。
 減少の原因は特定できず,保護の対策が打てませんが,その動向を記録することはわれわれの責務ではないでしょうか?