ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2024年2月号

東京湾奥部におけるスズガモの動向
スズガモに未来はあるのか?

日本野鳥の会千葉県・幹事会

東京湾のスズガモは10万羽を超えていた

 スズガモは潜水採餌性のカモで、冬の東京湾を象徴する鳥で、東京内湾(富津岬と観音 崎を結ぶ線の内側)で10万羽程度が越冬すると言われました。
 東京湾内で銃猟ができた1970年代後半まで、宮内庁新浜鴨場地先に造成された行徳湿 地に早朝多数が逃げ込み、最大12万羽を超える計数値もありました。

青潮発生でスズガモの餌が死ぬ

 生活排水中のリンや窒素は除去されず、東京湾奥部の海水は富栄養状態になり夏場に赤 潮を発生し、海底は貧酸素から無酸素の状態なり、北風が吹くと青潮を発生させ、岸近く の海水が無酸素状態になり、スズガモの餌である二枚貝(シオフキやアサリなど)が窒息 死し、スズガモの生活に影響を与えます。

スズガモの個体数変動

 下のグラフは、昭和64年度(4月から翌年3月)から令和4年度まで、三番瀬海域の浦安市日の出、 市川市塩浜、ふなばし三番瀬海浜公園と行徳湿地、谷津干潟の5地点で年間24回計数した値を 年度ごとに合計したものです(本会の兄弟団体=NPO野鳥千葉の調査値を含め、千葉県が集約したもの)。
 最大値は平成25年度の59万3903羽で、最新の令和4年度は6万6730羽です。昭和64年度から平成24年度までは、 大きな変動がなく、平成25年度から大きく増加しています。青潮多発で東京湾奥部の二枚貝が減少し、 スズガモが三番瀬海域に集中した結果と判断します。
 令和1年度以降、計数値が激減します。三番瀬海域でも二枚貝が減少している影響もあるでしょうが、 盤洲、富津沖など東京湾南部の群れも激減しており、地球規模でスズガモが減っているのではないか?と危惧されます。 引き続き、スズガモの動向に注目していきたいと思います。

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