ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2024年6月号

野鳥の繁殖時期、われわれは繁殖妨害をしないようにしましょう

日本野鳥の会千葉県・幹事会

日本野鳥の会創立90周年

 日本野鳥の会は,今年,創立90周年を迎えます。
 創立者,中西悟堂は天台宗の僧侶(後に,還俗)で歌人でもありました。1934年(昭和9年)富士山須走で,柳田国男,北原白秋, 金田一京助ほか文化人多数に声をかけ,初めての探鳥会を開いたのが初めでした。
 当時は野鳥に対する知識も少なく,鳥の巣を案内人に見せてもらったりしていましたが,戦後,飼い鳥を禁止すべく「野の鳥は野へ」 という標語を掲げ,霞網や空気銃を禁止する政治的活動を展開し,成果を上げました。

その後の野鳥の会

 戦後,日本経済が活発になり,各地で大規模な開発行為が計画され,日本野鳥の会も,開発行為に反対し,鳥類の生息環境を守る活動を展開します。
 渡り鳥の保護のためには,国際協力が不可欠で,国境を越える協力関係も作られました。

自前の保護区としてのサンクチュアリ

 行政の動きは待てず,日本野鳥の会の自前の保護区を作ろうと考え,1981 年,北海道ウトナイ湖に自前の保護区=サンクチュアリを作り, 以後,地方行政などと協力しサンクチャリを作り,谷津干潟自然観察センターもその一環として開かれました。

鳥の巣の写真は撮らないように

 1970 年代以前,巣の写真が多く撮られ,営巣放棄させる事例が多く,生態写真の第一人者の高野伸二さんが巣の写真を撮るのを止めよう と会員に働きかけました。
 会は,テレビ局の取材でも巣を撮らないようにと申し入れ,営巣場面の放映はほとんどありませんでした。

カメラマンが巣の前に終日座り込む現在

 県内では,サシバ,フクロウ,アオバズク,コアジサシなどの巣に,全国各地のカメラマンが終日座り込み,明確な繁殖妨害,野鳥虐待を続け, 注意しても居直る状態です。
 90 年の歴史を持つ日本野鳥の会はどうすればいいのでしょうか? 世論形成が急務です。