ほおじろの声
ほおじろ巻頭言 2024年11月号手賀の丘公園の環境保全に関して
日本野鳥の会千葉県・幹事会
定例の手賀沼探鳥会の集合場所=手賀の丘公園は,柏市が管理する森林公園だ。この園内に2 年半程前から市の委託を受けた民間業者がキャンプサイトを運営しており,
アウトドアブームの追い風もあり盛況が続いている。
敷地内に,「フォレストアドベンチャー」という施設を増設する計画が持ち上がった。森林内の樹上に移動器具を設置し,高低差を利用し,ジップスライデイングをする器具。候補地は,カワセミ池南東部の斜面林を中心としたエリア。
スギ,シラカシ等樹齢の高い高木があり,ジップスライデイングするのに適した斜面もあるため選定されたと思われる。
この計画に対し,本会は,小島久佳副会長が中心となり,地元の保護団体=かしわ環境ステーションと連携し,行政・業者に対し稀少生物の生息状況を開示すると共に数回にわたって打合せを実施し,本計画に反対の立場を申し入れた。対象となる斜面林はキンラン,ギンラン,コクラン,イチヤクソウ,ムサシアブミ等の稀少植物が自生し,鳥類ではカワセミ,キビタキ等が繁殖期に観察されている。また,樹上で繁殖するエナガ・メジロ,コゲラ,カワラヒワ,ヒヨドリ等の鳥類に大きな影響を与える懸念がある等を指摘した。
実際この施設が既に開設されている千葉市泉自然公園では,鳥類の生息に多大な影響が出ている事は広く知られている。
本年8月になり,柏市より本件に対する考え方が示された。
「(保護団体より)貴重な植物が多く群生していることや,野鳥への影響が懸念されるため,活用ではなく環境保全するゾーンとしてほしいとの要望があった。これを受け,5年後の令和11 年度まで現状維持とする」との内容で,当面5年間は現状維持が約束された。
柏市の対応を評価するとともに,5年後に方針を変更することのないよう要望する。