ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2025年1月号

あけましておめでとうございます

日本野鳥の会千葉県・幹事会

鳥は来ていますか?

 あけましておめでとうございます。
 会員の皆さんは,お元気で新年をお迎えになったこととお慶び申し上げます。
 皆さんの周りで,冬の普通種,ツグミ,アオジ,カシラダカ,シメ,マヒワなどは 見られますか?

再生可能なシステムを破壊してしまった

 2023 年の夏が異常に熱く,国連のグテーレス事務局長が,もはや温暖化でなく 沸騰化だと言い,2024 年の夏はさらに高温になり,台風,ハリケーン,線状降水帯, 豪雨,洪水,竜巻,旱魃,山崩れなど,地球規模の異常事態が相次ぎました。 産業革命前から1.5 度以上に上がると大災害が起こると言われましたが, 既に1.4 度を越えています。再生可能な地球のシステムを破壊した結果でしょう。

自然環境の破壊で野性鳥類が激減

 私たちの身の回りで,鳥が目に見えて減っています。原因は多様です。
 開発行為で鳥の生息環境が失われ,農薬・除草剤などが鳥の渡り能力を攪乱し, 魚類を地球規模で獲り過ぎて海鳥の餌資源が枯渇し,放射性物質や化学物質により 幼鳥に異常が生じ,マイクロプラスティックが魚類・鳥類・ヒトの体内に取り込まれて います。
 いずれも,微弱なる日本野鳥の会の力で解決できる問題ではありませんが, 自然保護団体として,如何なる社会的任務を担いうるのか? みんなで考える 必要があるのではないでしょうか?

日本野鳥の会90年の歴史

 日本野鳥の会は,1934 年,中西悟堂が創立。時代をリードする鳥学者や文化人が, 野鳥を中心に集う会でした。
 当初は,鳥の巣を見て歩いたり,霞網やシギ笛による猟の現場を見に行ったり, 『野鳥』誌の広告に小鳥屋の広告が並んだり,今見れば奇異な活動もありましたが, 第二次大戦後には,空気銃や霞網という猟具禁止する活動を展開し, ウトナイ湖サンクチュアリを自前で作り,20 世紀末には,諸分野での国際協力と 法整備を進めるまでに成長しました。

自然利用のルールづくりをリードできないか?

 我々が鳥を見に行くと,ウインドサーフィン,魚釣り,野鳥カメラマンが, 鳥の生活を撹乱する場面を見ます。90 年の歴史を持つ日本野鳥の会が, こうした人たちにも訴えて,倫理規範を示し,自然利用のルール作りを リードできないでしょうか?
 繁殖妨害,珍鳥を追う人々が市民生活に及ぼす被害,テレビ局による過剰取材など, 鳥虐め法規制すべき時期ではないでしょうか?