ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2025年5月号

千葉県で繁殖する鳥を見守ろう
鳥を虐めず、地元に迷惑をかけず

日本野鳥の会千葉県・幹事会

5月、バードウィークの起源

 5月10日から16日はバードウィークです。
 アメリカで,1894年,ペンシルバニア州で 5月4日をバードデイと定めたのが起源です。
 日本では,敗戦後の占領時代,アメリカ人鳥類学者のオースティンの提唱で,1947 年,4月10日をバードデイとしましたが, 北国では小鳥の繁殖時期が遅いことから5月10日に変更され、1950年からは,現行のバードウィークに改められました。
 鳥を見るという習慣がない時代,鳥を見て楽しむことを普及しようという動きでした。

繁殖期の夏鳥 陸鳥類では

 5月の連休ごろを境として,日本列島の鳥は大きく入れ替わり,夏鳥の繁殖活動が盛んになります。
 千葉県の最高峰は南房総市の愛宕山で標高408.1メートル。千葉県は,全国でもっとも背の低い県で, 低山帯の環境しかなく,もともと繁殖する鳥も限られますし,近年の環境悪化で種数も個体数も減っています。
 現在でも比較的よく見られるのは,陸生の夏鳥では,ホトトギス,サシバ,アオバズク,サンコウチョウ,コシアカツバメ, ヤブサメ,センダイムシクイ,オオヨシキリ,コヨシキリ,オオセッカ,クロツグミ,オオルリ,キビタキ,コジュリンなどです。

繁殖期の夏鳥 水鳥類では

 高い山がない代わりに,千葉県は水鳥類が多いのが特徴です。
 太平洋や東京湾に面した海岸環境があり,利根川,手賀沼,印旛沼などの周辺には広大な水田地帯が広がり, 丘陵地帯には谷地田があり,シギ・チドリ類,サギ類,コアジサシなどが,夏鳥として飛来し繁殖します。

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内浦山県民の森の林相。南方系の照葉樹林の尾根に北方系のモミ(中央)が残っている

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北総地方、水田と里山の環境

鳥は見せてもらうもの 鳥を虐めず、地元に迷惑をかけず

 バードウィークが始まってから75 年,自然環境は大きく変り,鳥類の生息できる環境が少なくなりました。
 他方,自然愛好家が増えましたが,鳥と人間の距離が近くなり過ぎました。
 カメラを持って鳥の生活に迫り鳥を虐める人が目立ち,農耕地や漁港に無作法に立ち入り,顰蹙をかう人も増えました。
 鳥を愛する者は,「鳥は見せてもらうもの」という意識を持ち続けたいものです。