ほおじろの声

ほおじろ巻頭言 2025年7月号

サギ類コロニーの情報をお寄せください

日本野鳥の会千葉県・幹事会

日本野鳥の会千葉県発足のきっかけはサギ類1,013羽の駆除事件

 1980 年8 月16−21 日の5 日間,館山市城山のサギ類コロニーで,繁殖末期に,成鳥1,013 羽が射殺され,多数の雛と卵の命がうしなわれました。
 近隣住民の生活に被害があり有害鳥獣駆除申請が出され,行政が許可(当時は環境庁が最終決裁)したものです。
 45 年前,現場に行き,中央組織である日本野鳥の会(本部),日本鳥類保護連盟とともに,抗議,現地調査をしたメンバーを中心に, 日本野鳥の会千葉県支部(現,本会)が,1981 年1 月に設立されました。
 以後,高橋敏夫初代支部長が,県との交渉を担い,全県でサギコロニーの調査を千葉県から受託しました。 成東町で民間人がサギコロニーを違法破壊する事件が起きたこともあります。
 2025 年現在,サギ類を見る機会が大幅に減り,緑一色の水田地帯で真っ白なサギが採餌する場面を見ることが滅多になくなりました。

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上は,旭市ニのサギ類コロニー(通称,井戸野コロニー)。県内最大規模で,今期も3,000個体が確認されていますが,太陽光発電施設が拡大化してコロニーに迫り,今後の動向が危惧されます。

サギ類コロニー調査を継続しています

 全県下のサギ類コロニーの調査を,上田孝寿さん(当時,幹事)が一人で継続してくださり,その後,橋本了次さん(副会長)が引き継ぎましたが, 営巣地は位置を変え,新しいコロニーの発見が難しい状況です。
 会員の皆様の観察範囲内で,コロニーがありましたら,所在地の情報をお教えください。構成種の情報までは不要です。

コアジサシの営巣状況 千葉県に保護対応策のお願いを続けています

 コアジサシは国の基準で絶滅危惧Ⅱ類(VU)。本会創立時には,埋立て直後の幕張地区などで,多数が繁殖していましたが, 現在は,個体数,繁殖地ともに減っており,6 月17日現在,九十九里浜の複数か所と,栄町の利根川河川敷で,少数の繁殖活動が見られます。
 繁殖初期段階にカメラマンが巣を放棄させたり,サーファー,釣り人,犬を連れる人,鳥類調査をする人などが歩き回るなど,人による撹乱が多く,成功率は高くありません。
 本会では,千葉県環境生活部自然保護課に状況を報告し,繁殖地をロープで囲み,警告の看板を立てていただくようお願いをしました。利根川河川敷では早々にロープを張り,警告看板を立てていただきました。
 千葉県では,過去,コアジサシ保護のため,九十九里浜全域で車両乗入れを禁止する条例を作り,長距離のロープを張りました。コアジサシの個体数は減りましたが,引き続き,保護策の継続をお願いしたいと考えます。